美しき日本の残像
「美しき日本の残像」アレックス・カー
読み終えるのがもったいないと思える本です。たくさんの事を想い、たくさんの事を思い出しました。自分の生まれた村、住んだ町、旅をした古い街。生まれ故郷から現在にいたるまでに見た様々な景色を思い出しては読みました。
アレックス・カーの文章は日本人が日本を書くより的を得て、他の外国人が日本を書くより正直で親密です。時に皮肉を交えながら、美しい日本が失われていくことやもう失われて元には戻らないことを憂えます。それでも日本の地を捨てずに亀岡に住んでいるのはまだ少しでも日本のよさが残っているからなんでしょう。
最初この本は日本でも教科書に使うべきではないかと思いました。アメリカでは大学の教科書に使われているそうですが、高度経済成長の繁栄と引き換えにうす汚れてしまった今の日本しか知らない子供達には理解不能かも知れません。その繁栄も斜陽となり本当に何も残らなくなった貧しい国、日本。
私のように昔の美の片鱗を少しでも見たことのある人が読んだなら、走馬灯のように次々に想いをめぐらせ楽しい時間を共有することができると思います。そして失ったものの大きさを思い知り愕然とすることでしょう。
「楽園のしっぽ」村山由香
アレックス・カーのちゃんとした日本語の文章を読んだあとなので、言葉がちょっと軽く感じられますがエッセイなので気にしないようにして読みます。
後書きや解説を先に読む人いますか?私は本編に飽きたときや、ちょっと息抜きに読むことがあります。今回は後書きを先に読んで失敗しました。鼻白むとはまさにこのこと。本のタイトルや写真に惹かれ、自給自足の心身ともに豊かな生活を出来ない自分のなぐさめのために読み始めたのに。帯の「だった」という過去形をみれば最後の予測がつくもののこうまであからさまだとしらけます。
志賀直哉を引き合いに出すのは気がひけますが、彼は古都奈良の街に一時期居を構え過ごしました。ゆったりした時間の流れに焦燥を覚えやがて奈良を去ります。時代が変わっても小説家とは豊かな時間、豊かな環境にいると焦燥感に苛まれるもののようです。気の毒な職業ですね。






























































最近のコメント